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日本円は下げ幅を拡大、タカ派的な日銀により下値は限定的か

日本銀行(BoJ)の政策見通しを巡るタカ派的な姿勢にもかかわらず、日本円が米ドルに対して2日連続で下落した。日銀のさらなる利上げ期待から、円安の進行は限定的になる可能性があるものの、現時点では通貨安の傾向が続いているようだ。

日銀と米連邦準備制度理事会(FRB)の政策見通しは対照的な様相を呈しており、この状況がUSD/JPYペアに下落圧力をかけている格好だ。植田和男日銀総裁は経済予測が正確であれば追加利上げの可能性を示唆。金曜日の国会答弁では「経済がわれわれの見通し通りに進めば、少し金利を調整する局面があるかもしれない」と述べた。

また、植田総裁は「長期国債を売却して金利を調整する手段は考えていない」とも言及。国債購入の減少はバランスシートの約7-8%に過ぎず、比較的小さな減少だと指摘している。

一方、FRBのパウエル議長はジャクソンホール・シンポジウムで「政策を調整する時期が来た」と述べたものの、利下げの開始時期や規模については明言を避けた。さらに、サンフランシスコ連銀のメアリー・デイリー総裁はブルームバーグTVのインタビューで、利下げを開始する「時が来た」と発言。おそらく0.25パーセントポイントの引き下げから始まるだろうと付け加えた。

市場動向に目を向けると、CME FedWatchツールでは、9月のFOMC会合で少なくとも25ベーシスポイントの利下げが完全に織り込まれている状況だ。日本の鈴木俊一財務大臣は為替レートへの影響要因として、金融政策、金利差、地政学的リスク、市場センチメントを列挙。これらの予測の難しさを強調した。

経済指標を見ると、米国の耐久財受注が7月に前月比9.9%増加し、2020年5月以来の最大の伸びを記録。この数値は予想の4.0%上昇を大幅に上回り、6月の6.9%減少から大きく回復した格好だ。日本の全国消費者物価指数は7月に前年比2.8%上昇し、3ヶ月連続でこの水準を維持。これは2月以来の最高水準となっている。

また、生鮮食品を除く全国CPIは2.7%上昇し、これも2月以来の最高値を記録。市場予想と一致する結果となった。米国の総合PMIは8月に54.1に低下し、7月の54.3から4ヶ月ぶりの低水準となったものの、市場予想の53.5を上回った。これは米国の事業活動が19ヶ月連続で拡大していることを示すものだ。

中央銀行の動向に注目すると、植田日銀総裁は長期国債売却による金利調整を否定する一方、経済状況次第では金利調整の可能性を示唆。FRB当局者の中には利下げの可能性に言及する者もいる。フィラデルフィア連銀のパトリック・ハーカー総裁は、米中央銀行が段階的に利下げを行う必要性を強調。

シカゴ連銀のオースタン・グールズビー総裁は、現在の金融政策が最も引き締め的であり、FEDが現在雇用目標の達成に焦点を当てていると述べた。7月のFOMC議事録によれば、9月会合での利下げ可能性に多くの当局者が同意したとされている。

テクニカル分析の観点からは、USD/JPYペアが火曜日に144.90付近で取引され、下降トレンドラインをテストしている状況だ。これは弱気バイアスの弱まりを示唆しているものの、14日相対力指数(RSI)は30をわずかに上回っており、依然として弱気トレンドを示している。

今後の展望として、下落側では141.69の7ヶ月安が注目されよう。さらに140.25のスローバックサポートまで下落する可能性もある。上昇側では145.67の9日指数移動平均が直近の障壁となっており、これを突破すれば154.50付近のスローバックから転じた抵抗線の領域を探る可能性が出てくる。

日本円の動向は日銀とFRBの金融政策の違いに大きく影響されている状況だ。今後の経済指標や中央銀行の発言、特に利上げや利下げに関する具体的な動きが、為替市場に大きな影響を及ぼすと予想される。市場参加者の注目が集まる所以だろう。

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