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世界の利下げ競争が引き起こすドル安の行方と注目の通貨―米大統領選挙がもたらす影響とは?

世界各国の中央銀行が利下げを進める中、為替市場は大きな揺れを見せている。その中で、ドル安の行方を見極めようとするトレーダーたちは、米国経済の堅調さや米大統領選挙の影響に注目している状況だ。

ドル指数(DXY)は、第3四半期において約4.8%の下落を記録した。これは、四半期ベースで見ると約2年ぶりの大幅な減少となる。この下落の主な要因としては、前月2024年9月に実施された米国の大規模な利下げが挙げられる。この政策変更が、ドルに対する下押し圧力を顕著に強めたのである。

今後のドルの動向、そしてどの通貨が有利な立場に立つかについては、主に各国間の利回りの差が鍵を握ると予測される。これまでの長期にわたり、米国の金利水準は多くの先進国よりも高く推移してきた。この状況がドルの魅力を高め、強いドル相場を支える要因となっていたが、その状況は変わりつつある。

世界各国の中央銀行、とりわけ米連邦準備理事会(FRB)は、経済の成長を支えるために金融緩和策を採用する傾向にある。これを受けて、多くの為替トレーダーは、ドルとの利回り格差が縮小する通貨に注目している。

米商品先物取引委員会(CFTC)が公表したデータによると、先物市場におけるドルの売り越しポジションは141億ドルに達した。約1年ぶりの高水準だ。しかし、ドル安が一方的に進むかと言えば、そう簡単ではない。

米国経済は依然として堅調であり、これがFRBの利下げ幅を制限する可能性がある。そのため、ドルのさらなる下落がどこまで進むかは、依然として不透明な要素が多い。さらに、今後数週間にわたって、米大統領選挙は為替市場に大きなボラティリティをもたらす可能性がある。

ブランディワイン・グローバルのポートフォリオマネジャー、ジャック・マッキンタイア氏も「ドルを一斉に売って全てを買うという単純な戦略ではない。もっと慎重に選別する必要がある」との見解を示している。

ドル指数は年初からほぼ横ばいで推移しているものの、4月の高値からは約5%下落している。これは、FRBによる金融緩和の期待が高まる中、米国の利回りが低下したためである。今後数日間の経済データは、市場のさらなる動きのきっかけとなる可能性がある。

ユーロ圏では9月のインフレ率が2021年半ば以来初めて2%を下回り、欧州中央銀行(ECB)による今月の利下げが予想され、ユーロに下落圧力がかかっている。一方、米国では2024年10月4日発表予定の雇用統計が、FRBが年内にどの程度金利を引き下げるかについての重要な判断材料となる見込みだ。強い雇用統計が出れば、緩やかな金融緩和の観測が強まる可能性がある。

キャピタル・ファンド・マネジメントのマクロ戦略責任者クリスチャン・デリー氏は、米国経済が軟調に転じた場合、市場はさらなる利下げを織り込み、ドル安が進む可能性があると指摘している。また、アムンディUSの債券・為替戦略ディレクター、パレシュ・ウパディアヤ氏は、金融政策の違いによって引き起こされる金利差に注目し、ノルウェークローネや豪ドルに対してドル安のシナリオを描いている。

ノルウェー中銀は最近、政策金利を16年ぶりの高水準に据え置き、利下げは2025年初めまで待たねばならない可能性を示唆した。豪州中銀も先週、金利を据え置き、近い将来の利下げは見込まれていない。このような背景の中で、ウパディアヤ氏はブラジルレアルのポジションも増やしている。ブラジル中銀は他の中銀とは異なり、厳しいインフレ見通しに対処するため、先月に利上げを実施した。

また、円も金融政策の違いによってさらなる支援を受ける可能性がある。日本銀行は2024年7月に政策金利を0.25%に引き上げたが、さらなる利上げには慎重な姿勢を示している。日米金利差の縮小により、円はドルに対して大きく上昇し、年初来の安値から13%も値を上げている。CFTCのデータによると、ドルに対する円買い越し額は58億ドルに達している。

BofAグローバル・リサーチが先月発表した通貨評価分析によれば、円やノルウェークローネは先進国通貨の中で最も過小評価されている。一方で、ドルやスイスフランは過大評価されている通貨として指摘されている。

ただし、どのようなポジションを取るにせよ、投資家は2024年11月5日の米大統領選挙に伴う変動リスクに対処する必要がある。選挙を巡る不確実性が高まることで、安全資産としてのドルに需要が集まり、ドルが再び上昇する可能性がある。また、共和党候補のトランプ氏が勝利した場合、ドル高が進むとの見方も根強い。

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