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2024年米国政治の転換点|大統領選挙が為替相場に及ぼす影響と今後のドル円動向予測

2024年11月5日、アメリカ大統領選挙が実施される。為替市場、特に米ドル相場とドル円への影響が注目だ。過去のデータを分析すると、選挙年は米ドル高の傾向が見られる。しかし、ドル円には明確なトレンドがない。興味深いのは選挙翌年のドル円動向である。上昇する傾向にあるのだ。

1973年以降の変動相場制移行後のデータを見ると、大統領選挙の年にドル指数(DXY)が下落したのは2004年、2012年、2020年の3回のみである。この3回のうち2回は6%超の米ドル安となった。一方、選挙翌年の米ドルのパフォーマンスは総じて高くなる傾向にある。

現在の有力候補は、共和党のドナルド・トランプ氏と民主党のカマラ・ハリス副大統領である。トランプ氏勝利の場合、初期は米ドル高が予想されるが、その後米ドル安に転じる可能性がある。

トランプ政策は景気を下支えする一方、インフレ再燃と財政悪化のリスクもある。法人税の減税は景気の下支え要因となるが、移民の抑制と対中関税の強化はインフレ再燃のリスクを高める可能性がある。

ハリス氏勝利なら、現政権の政策継続が予想される。直接的な為替への影響は限定的かもしれない。ただし、増税政策による企業収益への影響が、株式市場を通じて間接的に為替相場に影響する可能性もある。ハリス氏は法人税率を現行の21%から28%へ引き上げることを明示しており、多国籍企業の海外収益への課税も強化する方針だ。

2024年の為替市場を左右する大きな要因は、FRB(米連邦準備制度理事会)の金融政策である。FRBは利下げサイクルに入っており、短期金融市場では想定以上のペースでの利下げ観測が広がっている。この傾向は、どちらの候補が勝利しても、年末に向けて米ドル安圧力となるだろう。

パウエルFRBは9月のFOMCで通常の倍となる50ベーシスポイント(0.5%)の利下げを決定した。短期金融市場はさらなる大幅利下げの可能性を織り込んでいる。CMEのFedWatch ツールによれば、11月FOMCでの0.5%利下げの確率は五分五分となっている。

日本では、2024年9月27日に石破茂氏が自民党総裁に就任し、新政権が発足。日銀の金融政策にも注目が集まっている。12月の金融政策決定会合での追加利上げの可能性が取り沙汰されているのだ。賃金統計や日銀短観、来年の春季労使交渉の予想など、重要データが出揃う12月頃までに、市場の予想が急変する可能性もある。

植田日銀は、持続的な賃金の上昇と個人消費の伸びに自信を持つ場合、12月の会合で追加利上げに踏み切る可能性がある。日銀の動向は、ドル円相場に大きな影響を与えるだろう。

FRBの利下げと日銀の追加利上げの可能性を考慮すると、2024年10月から年末にかけてのドル円は下落トレンドとなる可能性が高い。特に139.58円を下回れば、138.00円または137.00円までの下落が視野に入る。これらの水準は過去にレジスタンスからサポートに転換した経緯があり、重要なサポートゾーンとなっている。

2022年10月から翌年1月にかけて、ドル円は24.72円急落した。この時の状況を参考にすると、2024年7月の高値161.95レベルから24円下は138.00レベルにあたる。また、25円の下落を想定する場合は、137.00レベルがサポート水準として浮上する。2022年の安値113.48レベルと161.95レベルの半値戻しが137.71レベルであることも、このサポートゾーンの重要性を裏付けている。

選挙結果が僅差となった場合、アメリカの政治的分断リスクが高まる可能性がある。特にトランプ氏の僅差での敗北は、2021年1月の議事堂襲撃事件の再発リスクも懸念される。政治的不安定性は、米ドルの下落要因となりうるのだ。

2024年の為替市場は、大統領選挙という政治イベントと、FRBの金融政策、そして日本の新政権下での日銀の動向など、複数の要因が絡み合う複雑な展開が予想される。投資家や市場参加者は、これらの要因を総合的に分析し、慎重に市場動向を見極める必要があるだろう。

為替市場の予測は常に不確実性を伴うものである。様々な要因によって予想外の展開となる可能性があることを念頭に置く必要がある。政治、経済、金融政策などの動向を注視しつつ、柔軟な対応が求められる年になりそうだ。投資家や企業は、リスク管理を徹底しながらも、機会を逃さない戦略が重要となるだろう。

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