原油安と米金利低下が後押しする金価格の強気相場:最高値更新なるか

現在、スポットの金価格が過去最高値を目指す強気相場を展開している。この背景には、原油先物価格の下落傾向がある。この動きは米国の長期金利低下を促し、結果として金価格を支える要因となる可能性が高い。ただし、堅調な米国経済指標は金価格の下落圧力となりうる点に注意が必要だ。
NY金先物価格(12月物)は10月15日、株安と米金利の低下による典型的なリスク回避の動きから反発した。これは株安と米金利低下によるリスク回避の動きを反映している。金価格も10日線でサポートされ、最高値近辺での攻防が続いている。
米金利上昇と米ドル高の局面で2,600ドルがサポートラインとなり、短期的なサポートラインに成功したことを考慮すると、金価格は最高値更新を視野に入れた強気相場を維持していると言える。
今後の注目点は、9月26日に記録した最高値2,685.58ドルを突破できるかどうかだ。この水準はフィボナッチ・エクステンション23.6%に相当し、テクニカル面でも重要な意味を持つ。この水準を超えれば、さらなる上昇が期待できる。
最高値更新の場合、次の目標は2,700ドル台となる。さらに上昇すれば、フィボナッチ・エクステンション38.2%の2,729ドル、50.0%の2,767ドルが次の攻防ポイントとなるだろう。
10月15日の米国債市場では利回りが低下した。これにはオランダの半導体製造装置メーカーASMLの低調な決算を受けた米半導体株の売りによる株価指数下落も影響している。しかし、より重要なのは原油先物価格の動向だ。原油価格と米長期金利には強い相関関係があるためだ。
中東情勢の緊張から一時78ドル台まで上昇したNY原油先物価格だが、現在は再び下落トレンドに転じている。これは主要機関が石油需要見通しを下方修正したことが主因だ。
石油輸出国機構(OPEC)は10月14日の月報で2024年の石油需要見通しを下方修正し、2025年の見通しも174万バレル増から164万バレル増へ引き下げた。一方、国際エネルギー機関(IEA)は10月15日に最新のレポートを発表した。その中で、今年の石油需要予測を見直し、前年比で日量86万バレルの増加にとどまるとの見方を示した。これは、以前の予測から日量4万バレル分の下方修正となる。この予測引き下げの背景には、中国経済の停滞がある。
今後、OPECプラスによる減産縮小も予想される。中国の需要減少と供給量増加が重なれば、原油価格の一層の下落につながる可能性がある。原油価格の下落は米金利低下を通じて金価格を押し上げる要因となりうる。
一方で、10月17日に発表予定の9月米小売売上高と新規失業保険申請件数といった指標は米長期金利の変動要因となるだろう。経済指標が強い結果を示せば、米金利上昇を通じて金価格の下落要因となる可能性もある。
しかし、金価格は依然として強気相場を維持しており、下落局面では押し目買いの機会をうかがうべきだろう。
買いのタイミングを図る上で注目したいのが、1時間足チャートのフィボナッチ・リトレースメントだ。38.2%戻しの2,657ドル、76.4%戻しの2,645ドルがサポートラインとなっている。76.4%戻しの2,645レベルは、これまで相場を支えた実績がある。また、その直下には10日移動平均線が位置している。2,640レベルは押し目買いの好機と見られる重要なサポート水準として注目しておきたいところだ。
分足チャートのMACDとRSIを用いてトレンドと過熱感を確認することも有効だ。MACDがゼロラインを下回ればサポート水準のテストを想定し、MACDとRSIでゴールデンクロスが確認されれば押し目買いのチャンスと捉えたい。特に、金価格がサポート水準を試す局面でゴールデンクロスが現れた場合は、強い反発の可能性を意識すべきだろう。
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