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ポンドとドルの攻防:金融政策と市場動向が左右する通貨相場の行方

9月の消費者物価指数(CPI)が予想以上に鈍化したことを受け、短期金融市場では英国中央銀行(BOE)が11月と12月の金融政策委員会(MPC)で連続利下げを実施する可能性が高まっている。この観測が英ポンド売りの圧力を強めており、特に対米ドルでの下落が顕著となっている。

ポンドドルの直近のトレンドを日足チャートで分析すると、「上昇」から「下落」を経て「レンジ相場」へと推移し、9月16日の市場ではレンジを下方にブレイクした。さらに、9月11日につけた安値1.30も完全に下回る展開となっている。10日移動平均線が相場の戻りを抑えている状況も考慮すると、ポンドドルの地合いは弱く、1.2900を目指した下落が視野に入ってきた。

ポンド売りの影響は対円相場にも及んでいる。ポンド円の日足チャートを見ると、連日の陰線引けで10日移動平均線を下回る展開となっており、196.00レベルが明確なレジスタンスラインとして機能し始めている。テクニカル指標であるRSIはデッドクロスに転じており、MACDもデッドクロスが確認されれば、さらなる下落の兆候となる可能性がある。

しかし、ポンド円の下落幅は限定的になると予想される。この見方の根拠となるのが通貨オプション市場の動向だ。リスクリバーサル(1週間/1ヶ月)はポンド・プット寄りの傾向を示しているものの、大きな変動は見られない。また、予想変動率も1週間物が8%台、1ヶ月物が10%前後と低水準で安定している。これらの指標から、オプション市場の参加者はポンド円の下落を意識しつつも、その幅は限定的になるとの見方を持っていることがうかがえる。

ポンド円の下落幅が抑えられる可能性を高めているのが、ドル円の動向だ。ドル円の日足チャートでは、短期の10日移動平均線と中期の50日移動平均線の間でゴールデンクロスが形成され、150.00円をターゲットとする展開となっている。

この背景には、米国経済のソフトランディング期待の高まりがある。これにより、FRB(連邦準備制度理事会)の利下げペースが緩慢になるとの見方が強まっている。一方で、欧州中央銀行(ECB)や英中銀(BOE)については連続利下げの可能性が高まっており、この金融政策の方向性の違いが欧州通貨売り・ドル買いの圧力となっている。

ドル円が150円台に乗せた場合、一気に151円を目指す展開も想定される。その場合、200日移動平均線とフィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準である151.53レベルが焦点となるだろう。

現在のドル円相場を左右する米債市場は、経済指標の動向を注視している状況にある。このため、ポンド円も米国の経済指標に敏感に反応する展開が予想される。

10月17日発表予定の9月米小売売上高と週間新規失業保険申請件数は、相場の方向性を決める重要な指標となる。これらの指標が堅調な結果を示せば、米国経済のソフトランディング期待が一層高まり、米金利と米ドルの上昇につながる可能性が高い。その場合、ドル円は150円台への攻防に移行し、これがポンド円の押し上げ要因となるだろう。

ポンド円が上値を試す局面では、10日移動平均線の突破と196.00円のトライが注目される。直近高値の195.70円を超えれば、196.00円への挑戦が視野に入る。さらに196円台に乗せた場合は、フィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準である197.41円が次の目標となる可能性がある。

一方、米経済指標が市場予想を下回る結果となった場合は、ドル売りによるドル円の下落が予想される。この場合のポンド円は、21日移動平均線(現在193.20円付近)の維持が焦点となる。10月4日の東京時間安値を起点とした半値戻し水準である193.72円を下回れば、21日線を試す展開となる可能性が高い。さらに21日線を割り込めば、192円の維持が焦点となり、9月30日の欧州時間安値を起点とした半値戻し水準である192.60円前後での攻防が注目されるだろう。

相場分析には1時間足のMACDとRSIを活用し、トレンドと短期的な過熱感を常にチェックすることが重要だ。特に、上述したサポート水準付近でMACDとRSIがゴールデンクロスを形成した場合は、反発相場の兆候として注目に値する。

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