1. TOP
  2. マーケット解説
  3. マーケットニュース
  4. 米国経済指標好調で円安進行、150円台突破で日本政府が警戒強化

米国経済指標好調で円安進行、150円台突破で日本政府が警戒強化

ドル円相場は節目となる150円レベルを上回った。しかし、この動きはわずか1か月で10円という大幅な円安となっており、日本政府はこの急激な為替変動に対して強い警戒感を示している状況である。

ドル円相場は大幅な円安傾向を示している。10月17日のニューヨーク市場では、終値が1ドル=150円台を記録し、これは約2か月半ぶりの円安水準となった。この動きの背景には、米国の9月小売売上高データなどが予想を上回り、米国経済が予想以上の強さを見せていることがある。これにより、米連邦準備制度理事会(FRB)が金融緩和に慎重になるとの見方が市場で広がっている。

しかし、わずか1か月で10円を超える急激な円安の進行に対し、日本政府は強い警戒感を示している。政府による為替介入への警戒感から、一方的な円安の進行には一定の歯止めがかかっている状況だ。さらに、11月上旬に予定されている米国の金融政策を決定する重要会議(FOMC)までの期間中、日本の衆議院選挙や米国の大統領選挙など、為替相場に影響を与えうる重要イベントが続くことから、相場は不安定な状態が続くと予想される。

この急激な円安の主因は、米国経済の底堅さを示す経済指標の相次ぐ発表である。米商務省が公表した9月の小売売上高は前月比0.4%増となり、市場予想の0.3%を上回った。自動車・部品を除いたベースでも0.5%増と、市場予想(0.1%)を大幅に超過している。また、米労働省発表の新規失業保険申請件数も24.1万件と、市場予想の26.0万件を下回った。

これらの経済指標を受け、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策に関する見方も変化している。CMEグループのデータによると、11月と12月の連邦公開市場委員会(FOMC)での合計0.5%幅の利下げ確率は、17日朝の85%から18日正午には74%まで低下した。

そんな中、日米の金利差も円安要因となっている。LSEGのデータによれば、日米の長期金利(10年物国債利回り)差は10月17日終値時点で3.131%ポイントに達している。米国の長期金利は、9月18日の3.687%から10月17日には4.096%まで上昇した。

一方、日本側では円安の加速に対する警戒感が強まっている。日本の総務省が10月18日に発表した9月の消費者物価指数(CPI)では、生鮮食品とエネルギーを除いたコアコア指数が前年比2.1%となり、8月の2.0%から上昇した。これは日本銀行による追加利上げの可能性を示唆する材料となっている。ただし、総合指数(2.5%)とコア指数(2.4%)は前月から低下したが、これは政府による電気・ガス料金補助の再開が影響していると考えられる。

財務省の三村淳財務官は18日朝、「足元ではやや一方向、あるいは急速な動きもみられる」と指摘し、「投機的な動きを含めて為替市場動向を高い緊張感を持って注視していきたい」と述べた。この発言を受け、18日の相場は一時149.90円まで円高方向に振れた。

今後のドル円相場に影響を与える重要イベントとして、11月6、7日のFOMCまでの間に、米国の2024年7-9月期GDP速報値、9月個人消費支出(PCE)物価指数、10月雇用統計の発表が予定されている。さらに、日本銀行の金融政策決定会合、日本の衆議院選挙、米国大統領選なども控えており、これらの要因により相場の変動が激しくなれば、日本政府による為替介入の可能性も高まることが予想される。

SAMURAI FXを使う方向けにキャンペーン実施中!! 今すぐ無料で口座開設 サポートが必要な方はこちら
今すぐ無料で口座開設