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ユーロ円相場が2か月半ぶりの安値に、複数の要因でさらなる下落も視野

ユーロ円相場が最近、顕著な下落傾向を示している。市場では約2か月半ぶりのユーロ安水準を記録し、特に直近2週間での動きが注目を集めている。ニューヨーク時間2日昼(日本時間12月3日未明)の取引では、一時1ユーロ=156.38円まで下落。これは9月17日に記録した156.05円以来の安値水準となった。この動きは11月15日につけた165.04円から比較すると、わずか2週間余りで8.66円という大幅な下落を意味している。

この急激なユーロ安の背景には、複数の要因が絡み合っている。最も大きな影響を与えているのが、ユーロ圏第2位の経済規模を持つフランスの政治的混乱だ。事態の発端は7月7日に実施された下院総選挙の決戦投票にある。この選挙では、左派の新人民戦線を中心とする勢力が180議席超、エマニュエル・マクロン大統領を支持する中道勢力が160議席超、極右の国民連合などの勢力が140議席超をそれぞれ獲得する結果となった。

この選挙結果を受けて、マクロン大統領は9月に中道勢力のミシェル・バルニエ氏を首相に任命し、新内閣を発足させた。しかし、与党が過半数を確保できない状況下で、政権運営は当初から不安定な様相を呈していた。実際、ユーロ円相場は総選挙決選投票の4日後となる11日には1ユーロ=175.43円をつけたものの、その後は一貫してユーロ安傾向が継続している。

さらに最近になって、事態は新たな局面を迎えた。フランスの野党である左派の新人民戦線(NFP)と極右政党の国民連合(RN)が、2日にそれぞれバルニエ内閣に対する不信任案を提出したのである。ブルームバーグの報道によれば、この不信任案は2025年度予算案を巡る対立が直接のきっかけとなっており、早ければ12月4日にも不信任案が可決される可能性があるという。

政治的な混乱に加えて、ユーロ安を加速させている要因がいくつか存在する。まず、ウクライナ情勢の緊迫化がユーロ売りの材料となっている。また、欧州中央銀行(ECB)の金融政策も重要な要因だ。11月29日にEU統計局が発表した11月の消費者物価指数(CPI)では、食品・エネルギー・酒類・タバコを除くコア指数が前年比2.7%上昇と、市場予想の2.8%を下回った。総合指数の伸び率も市場予想と同じ2.3%にとどまっている。

ECBはこうした状況を受けて、物価上昇が徐々に落ち着いていくとの見方を示している。市場では12月12日に開催されるECB理事会で、3会合連続となる利下げが決定されるとの見方が強まっている。

一方、円側の要因もユーロ円相場の下落を後押ししている。日本銀行の利上げ観測を背景とした円高傾向が顕著となっており、3日のドル円相場(USD/JPY)は1ドル=150円前後で推移。11月6日からの4週間で約3%の円高が進行している。これに対してユーロの対ドル相場(EUR/USD)は2.3%程度のユーロ安となっており、この両者の動きが相まってユーロ円での下落圧力として作用している。

このような複数の下落要因が重なる中、市場では2024年の年初来安値である1ユーロ=154.42円(8月5日記録)の更新も視野に入れ始めている。フランスでの内閣不信任案可決の可能性や、日銀の12月18、19日の金融政策決定会合での利上げ観測が一段と強まれば、さらなるユーロ安圧力が高まる可能性が市場関係者から指摘されている。

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