ユーロ円相場の転換点:160円一服と今後の見通し

ユーロ円相場の最新動向と今後の見通しについて、重要な転換点を迎えている可能性が出てきました。これまで続いていたユーロ高の流れが160円を目前に一服し、今後はユーロ安への転換も視野に入る展開となっています。
市場の動きを詳しく見ていくと、12月11日の日本時間における取引では、1ユーロ=159円台後半での推移となっています。直近の動きを振り返ると、12月10日のニューヨーク市場終値は159.97円を記録し、前日比で0.40円のユーロ高となりました。また、12月3日の156.18円から約1週間で3.79円程度のユーロ高となっており、一定の上昇基調は維持されています。
しかしながら、ユーロの対ドル相場については弱含みの展開が続いています。ブルームバーグの報道によると、ユーロドル相場は12月10日までの3営業日で連続して下落し、累計で0.56%のユーロ安となっています。この動きの背景には、複数の不安要因が存在しています。
特に注目すべき要因として、フランスの政治情勢があります。2025年予算を巡る対立から12月4日に内閣不信任案が可決され、翌5日にはミシェル・バルニエ首相が辞任するという政治的混乱が生じています。さらに、ウクライナ情勢の悪化も相まって、欧州全体の政治的不安定さがユーロ安要因として強く意識されています。
金融政策面では、ECB(欧州中央銀行)が12月12日の理事会で利下げを決定する可能性が極めて高まっています。市場の見方では、0.25%の利下げ実施確率が100%を超える水準となっており、さらに0.50%の利下げの可能性も排除できない状況です。この背景には、11月29日に発表されたユーロ圏の11月消費者物価指数(CPI)速報値において、食品、エネルギー、酒類、タバコを除いたコア指数の伸び率が市場予想を下回ったことがあります。
さらに重要なポイントとして、2025年の金融政策見通しがあります。市場では、2025年1月から6月にかけて開催される4回の理事会すべてにおいて、0.25%幅の利下げが実施されるとの見方が優勢となっています。12日の理事会後に発表される声明文や、クリスティーヌ・ラガルド総裁の記者会見での発言内容次第では、より積極的な利下げの可能性も出てくる可能性があります。
一方で、ユーロ円相場の動きはドル円相場からも大きな影響を受けています。興味深いことに、ユーロが対ドルで下落傾向にあるにもかかわらず、ユーロ円相場ではユーロ高の動きが見られています。これは、円の対ドル相場での下落がより顕著であることが要因となっています。
日本銀行の動向も市場の注目を集めています。12月18日、19日に予定されている金融政策決定会合での利上げを巡る思惑から、円相場は変動が激しくなっています。現在のドル円相場は151円台後半で推移しており、152円を節目として円安の進行は一時停止している状況です。
ただし、日銀の政策決定次第では、さらなる円安の可能性も否定できません。このような状況下では、ユーロ円相場の今後の見通しについても、様々なシナリオを想定しておく必要があります。欧州の金融政策や政治情勢、そして日本の金融政策という複数の要因が絡み合う中、当面は神経質な展開が続くものと予想されます。
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