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原油価格が急騰:WTIが79ドル台に上昇、ロシア制裁と供給過剰リスクが交錯

WTI(翌月渡し)の価格は1月13日に一時79ドル台まで上昇し、原油市場で急騰が見られた。この背景には、1月10日に米政府が発表したロシアへの経済制裁が大きく影響している。一方で、生産拡大や需要減少を示唆する動きがあり、価格下落の要因となる可能性も指摘されている。

原油価格は年明け以降、厳冬による需要増加の予測を受けて上昇基調にあった。特に1月13日のWTI原油価格は一時79.27ドルを記録し、2024年8月13日以来の高水準となっていた。これは米政府がロシアの石油産業に対する制裁を強化したことが材料視された結果である。この制裁には、ロシア石油大手ガスプロムネフチやスルグトネフテガスが対象に含まれ、ロシアの石油輸出による収益を阻止する狙いがある。ジャネット・イエレン財務長官は、ロシアの石油貿易における輸送や金融リスクが一段と高まるとの見解を示した。これを受け、WTI原油の価格は1月10日に前日比3.58%の上昇、1月13日にはさらに2.94%上昇した。

一方で、原油市場には価格下落を示唆するデータも見られる。1月13日に発表された中国の12月の原油輸入量は4784万トンで、前年同月比1.1%減少しており、中国経済の低迷が原油需要を抑制していると分析されている。さらに、2024年通年の輸入量は1.9%減少した。これに加え、米エネルギー情報局(EIA)が1月14日に発表した短期エネルギー見通し(STEO)によれば、2025年には日量26万バレルの供給超過が予測されている。この見通しでは、生産量が日量12万バレル上方修正される一方、需要量が22万バレル下方修正されている。2026年についても、EIAは日量74万バレルの供給超過を見込んでおり、供給過剰が続く可能性が指摘されている。

また、EIAは1月15日午前10時30分(日本時間1月16日午前0時30分)に発表する1月10日時点の原油在庫量について、在庫の取り崩し幅が小さくなる見込みを示している。市場予想では、原油在庫量は前週比で85万バレル減少するとされているが、この減少幅は前週の95.9万バレルより小さいと予測されている。これが事実であれば、在庫減少は8週連続となるものの、市場への影響は限定的である可能性がある。

さらに、原油需給に関する見通しでは、石油輸出国機構(OPEC)や国際エネルギー機関(IEA)も15日に新たな見解を発表予定だ。これらの見通しが供給増加や需要減少を強調する内容であれば、原油価格に対してさらなる下落圧力がかかる可能性がある。

こうした状況の中、1月20日に米国大統領に就任するドナルド・トランプ氏の政策が注目されている。トランプ氏は選挙戦中から、米国内での原油や天然ガスなどの化石燃料の採掘を支援する姿勢を明確にしており、大統領就任直後にはエネルギー政策の大転換を図る可能性が報じられている。1月14日のウォールストリート・ジャーナルによれば、トランプ氏は就任初日に数十の大統領令に署名し、エネルギー政策を含む大規模な変更を進める予定とされている。これにより、原油生産の増加が市場の供給過剰を一層進め、原油価格の下落要因となる可能性がある。

このように、原油価格をめぐる市場動向は、需要と供給、そして政策の変化が複雑に絡み合い、多方面から影響を受けている。今後の市場の行方を見極める上で、各国の政策動向や需給バランスの変化に注視する必要がありそうだ。

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