ATRとは?意味や計算式、トレードでの活用法を解説

株式投資やFXトレードを始めたものの、相場の変動を的確に捉えられず思うような利益が出せていない。そんな悩みを抱える人もいるでしょう。ATR指標を活用すれば、価格変動の大きさを数値化し、トレードのタイミングや損切りポイントを客観的に判断できるようになります。本記事では、ATRの意味や計算方法、そして実践的な活用法をわかりやすく解説していきます。
目次
ATRとは

相場分析において重要な指標の一つ、ATR(Average True Range)は、価格変動の大きさを数値化し、相場のボラティリティを測定する役割を担っています。トレーダーにとって、相場の変動幅を把握することは非常に重要で、適切な売買タイミングやリスク管理に活用可能です。
まず、ATRの意味や見方、さらにはADXとの違いについて詳しく解説していきます。
意味
ATRは平均真実範囲を意味し、相場の値動きの大きさを表す指標として広く知られています。一定期間の価格変動幅の平均値を算出し、市場のボラティリティを数値化するものです。
ATRが高い値を示せば相場の変動が大きいことを表し、逆に低ければ、相場が比較的落ち着いていると考えられます。この情報を基に、トレーダーはポジションサイズの調整やストップロスの設定など、効果的なリスク管理が可能となります。
見方
ATRの見方は比較的シンプルです。通常、チャート下部に表示され、数値やグラフで表現されます。数値が大きくなれば相場の変動が激しく、小さくなれば相場が落ち着いていると見なせます。時系列でATRの推移を観察すれば、相場のボラティリティの変化も把握できるでしょう。
ただし、急激なATRの上昇には注意が必要です。相場の転換点や重要なイベントの発生を示唆している可能性があるからです。
ADXとの違い
ATRとADX(Average Directional Index)は、どちらも相場分析に用いられる指標ですが、その性質は大きく異なります。
ATRが相場の変動の大きさを測定するのに対し、ADXはトレンドの強さを示す指標です。ATRは方向性を持たず、単純に価格変動の幅を表します。一方、ADXは上昇トレンドや下降トレンドの強さを0から100の範囲で数値化します。両指標を組み合わせることで、より包括的な相場分析が可能になり、効果的なトレード戦略の構築に役立つでしょう。
ATRの計算式

ATRの計算は、以下の3つのステップで行われます。
- まず、各足の真の値幅(True Range)を算出します。 TR = max(高値 – 安値, |高値 – 前日終値|, |安値 – 前日終値|)
- 次に、指定期間(通常14日間)のTRの単純移動平均を計算します。 初日のATR = 最初の14日間のTRの移動平均値
- 2日目以降は、以下の公式を用いて計算します。 ATR = [(前日のATR × 13) + 今日のTR] ÷ 14
計算式の役割
ATRの計算式は、相場の実際の変動幅を正確に捉えるために設計されています。単純な高値と安値の差だけでなく、前日の終値も考慮に入れることで、価格のギャップも含めた真の変動幅を算出するのです。これにより、相場の急激な動きや重要な局面を見逃すことなく捉えられます。
さらに、移動平均を用いることで、一時的なノイズを排除し、中長期的な相場のボラティリティの傾向もしっかり把握できるようになります。
ATRの活用法

ATRは、その特性からさまざまなトレード場面で活用できます。他の指標と組み合わせることで、より効果的な分析が行えるほか、決済の目安や損益管理にも利用可能です。次に、ATRの具体的な活用法として、他指標との併用方法や決済目安としての使い方、さらには利確や損切りの幅の設定方法について詳しく解説していきます。
ADXと併用する
ATRとADXを併用することで、より包括的な相場分析が可能になります。ATRが相場の変動の大きさを示すのに対し、ADXはトレンドの強さを表すため、両者を組み合わせることで相場の状況をより正確に把握できるのです。
例えば、ATRが上昇し、ADXも高い値を示している場合、強いトレンドの中で大きな値動きが起こっていると判断できます。逆に、ATRが低下し、ADXも低い値を示している場合、相場のレンジ相場や方向感の欠如を示唆している可能性があります。
決済目安にする
ATRは相場の変動幅を数値化するため、決済の目安として活用できます。
例えば、エントリーポイントからATRの1倍分動いたら利確するといった方法があります。この方法を用いることで、相場の状況に応じた柔軟な決済が可能になるのです。ボラティリティが高い時期には大きな利益を得る機会が増え、逆にボラティリティが低い時期には小さな利益でも確実に獲得できるでしょう。また、時間帯や相場環境によってATRの倍数を調整することで、より効果的な運用も可能になります。
利確や損切の幅の設定に使う
ATRを利用することで、適切な利確や損切りの幅を設定できます。一般的に、ATRの2倍から3倍程度を目安に設定するケースが多いようです。例えば、ATRが100ポイントの場合、損切りラインを200から300ポイント程度に設定します。
この方法を用いることで、相場のボラティリティに応じた適切なリスク管理が可能になるのです。また、相場の状況に応じてATRの倍数を調整することで、より洗練されたリスク管理も行えるでしょう。過度に狭い設定や広すぎる設定を避け、バランスの取れたトレードを心がけることが重要です。
まとめ
ATRは価格変動の大きさを示す有用な指標です。相場のボラティリティを把握し、適切なポジションサイズの設定や損切りラインの決定に役立ちます。ただし、ATRだけでなく他の指標や分析手法と組み合わせることで、より精度の高いトレード戦略を構築できます。本記事を参考に、ATRをトレードに取り入れ、より安定した運用を目指してみてはいかがでしょうか。
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