FX取引の両建てとは?意味やおすすめできない理由などを解説

FX取引において「両建て」という言葉を耳にしたことがあるでしょう。この取引手法は一時的な損失を抑制できる反面、様々なリスクも潜んでいます。本記事では両建ての基礎知識や取引方法、メリット・デメリットについて、初心者にもわかりやすく解説していきます。
目次
FXの両建てとは

為替取引において両建ては同一通貨ペアの買いポジションと売りポジションを同時に保有する取引手法として注目されています。一見すると損失を抑制できる手法に思えるものの、実際には様々なリスクや注意点が存在するのです。本章ではFX取引における両建ての基本的な知識やメリット・デメリットについて詳しく解説していきましょう。
意味
FX取引における両建ては同じ通貨ペアで売りと買いのポジションを同時に持つ手法です。
たとえば米ドル円で買いポジションを1万通貨分保有している状態で、さらに1万通貨分の売りポジションを持つような取引方法。この状態なら為替レートが上下どちらに動いても利益と損失が相殺され、評価損益は変動しないという特徴があるでしょう。
両建てのメリットはある?

FX取引における両建ては一般的に推奨されない手法とされていますが、状況によってはメリットを享受できる場面も。両建ての主なメリットには損失の抑制効果や証拠金の効率的な運用などが挙げられるでしょう。
本章では両建て取引におけるメリットについて具体例を交えながら見ていきましょう。
取引額が多いポジションの証拠金だけで取引できる
両建て取引では証拠金の計算方法にMAX方式を採用しているFX会社の場合、取引金額の大きい方のポジションに対する証拠金のみで取引開始が可能です。
たとえば買いポジションで10万円、売りポジションで1万円の証拠金が必要な場合は、10万円の証拠金があれば取引をスタートできるというわけです。効率的な資金運用が実現できる点は大きな魅力といえるでしょう。
損失の拡大を防げる
相場が急激に変動するような場面で一時的に損失の拡大を抑制する効果が期待できます。たとえば保有しているポジションと反対方向に相場が動いた際には、両建てにすることで評価損益を固定化するのです。こうして市場が落ち着くまでの時間的余裕を確保できる点は、トレーダーにとって心強い味方となるでしょう。
両建てがおすすめされていない理由

FX取引における両建ては、一見すると魅力的な取引手法に思えるかもしれません。しかし実際には取引コストの増加やロスカットのリスクなど、様々な問題点を抱えているのです。本章では両建てが推奨されない具体的な理由について詳しく見ていきましょう。
ロスカットになるリスクがある
両建て取引は証拠金を二重に必要とするFX会社も存在し、口座の資金に余裕がない場合はロスカットの可能性が高まってしまいます。また相場の急激な変動時にはスプレッドが拡大して評価損が増える可能性も。このようなリスクは見過ごせない問題といえるでしょう。
コストが増加してしまう
両建て取引ではスプレッドが売り買い双方のポジションに発生するため、取引コストは通常の2倍に膨らんでしまうのです。早朝などの流動性が低下する時間帯や重要な経済指標の発表時には、さらにスプレッドが拡大する可能性も。コスト面での負担増加は避けられない現実といえます。
スワップポイントがマイナスになる
両建て取引では金利の高い通貨を売り、低い通貨を買うポジションを持つとスワップポイントの支払いが発生してしまうのです。長期間ポジションを保有し続けると、このスワップポイントの支払いによって予期せぬ損失が膨らむ可能性があるでしょう。
FXで両建てする方法

FX取引で両建てを行う際は、取引画面の注文設定で「両建て」をオンにする必要があります。この設定がオフの状態では同一通貨ペアの売り買いポジションを同時に保有することはできず、新規注文は自動的に決済注文として処理されるのです。両建て設定をオンにすることで、はじめて売り買い両方のポジションを持つことが可能となるでしょう。
両建ては慎重に行おう
FX取引における両建ては一時的な損失の抑制には効果を発揮しますが、スプレッドやスワップポイントなどの取引コストが増加するというデメリットも併せ持つのです。また適切なタイミングでポジションを決済する必要があるため、確かな相場観が求められるといえます。両建ては取引手法の一つとして知っておく価値はありますが、実践の場面では慎重な判断が不可欠でしょう。
この記事をシェアする